食品の商品開発とマーケティング
自社の商品開発パターンに合ったマーケティングリサーチ、出来ていますか?
食品の商品開発については、以前のブログ記事「食品における商品開発のカギ【わかりやすく解説します】」でも取り上げました。
(商品開発におけるマーケティングの重要性について解説していますので、よろしければ読んでみてください。)
少しブログのおさらいになりますが、商品開発のプロセスは、以下のように複数のフェーズから成り立っています。
【マーケティングリサーチ】 → 【商品開発・コンセプト検討】 → 【商品設計】
そして、商品開発には「消費者ニーズ由来」(マーケットイン)と「企業の技術力由来」(プロダクトアウト)の2つのパターンがあることを解説しました。
実は、商品開発のパターンの違いにより、マーケティングリサーチで着目すべきポイントが異なります。
そこで、今回は商品開発パターンをより詳しく解説しながら、マーケティングリサーチで着目すべきポイントを掘り下げます。
商品開発の型によって異なるリサーチポイント
まず、商品開発の型から見ていきましょう。
商品開発は、大きく分けて2パターン、「消費者ニーズ由来」と「企業の技術力由来」パターンがありますが、さらに深堀りすると、以下の3つの型があります。
①二番手開発型:他社・近隣のライバル店の先行商品を起点とした商品開発
②ニーズ開発型:消費者のニーズ対応を起点にした商品開発
③シーズ開発型:研究・開発部門での新素材・新製法・品質技術を起点とした商品開発
消費者ニーズ由来の商品開発は、①二番手開発型と②ニーズ開発型に枝葉が分かれます。
①二番手開発型については、ライバルとなる先行商品が、すでに消費者の何らかのニーズを満たしている(=消費者の明確なニーズが存在している)状況と言えますので、消費者ニーズ由来の商品開発と言えるでしょう。
これに対し、企業の技術力由来の商品開発は③シーズ開発型にあたります。
では、それぞれの商品開発の型において、マーケティングリサーチで着目すべき点は何かを考えていきましょう。
①二番手開発型:先行商品の消費者が「なぜそれを買うのか」に注目
二番手開発型の場合、競合他社・競合店舗の先行商品そのものの分析が重要です。
追随と模倣は異なります。単に似たような商品を作るだけでは、パイを取り合うだけで、先行商品以上に売れる商品にはなりません。
「購入している層はどのような消費者なのか」
「消費者はどのような点を良いと感じて購入しているのか」
これらを丁寧に分析し、先行商品を超える魅力ある商品を追求する必要があります。先行商品に対して、まだ満たされていない点はないのか、不満や改良ポイントがあるとしたらどのような点か…など、仮説を立てていくと分析に深みがでます。こういった分析の深堀りを繰り返すことで、先行商品を超えた「二番手」の開発のメリットを生かした商品開発に繋がるのです。
②ニーズ開発型:客観的事実に基づく消費者ニーズを把握しているかが肝
3つの商品開発の型の中でも、ニーズ開発型は目指すべき方向性が明確に描きやすく、比較的取り組みやすいといえるでしょう。
ただし、消費者ニーズをどれだけ具体的に把握しているかが肝になります。描いている消費者ニーズが、担当者の「思い込み」に基づくものであると、初期時点で目指すべき方向性を見誤る危険があります。そのためにも、研究開発部門やマーケティング部門が、日頃から消費者の声を集める仕組みや体制を持っているか、日々得意先を回っている営業部門と情報の連携が出来ているかが重要です。
③シーズ開発型:まずはシーズが持つ価値の理解、次にそれを求める消費者の理解
シーズ=種、商品開発においては、新しい加工技術や製法などがシーズにあたります。
技術に関する専門的な部分もあるため、まずはシーズが持つ価値とは何かを消費者のメリットという視点でブレイクダウンします。例えば、新たな加工技術や製法が実現する色合い、香り、食感、風味、後味などを考えることを指します。技術そのものの価値ではなく、その技術によってどのような商品が生まれるのかと考えるとわかりやすいでしょう。
次に、その商品を「価値がある」と認知する消費者はどのような人なのかを考えます。この時、自社のシーズがもたらす品質や技術が、ターゲットとする消費者の要求レベルを満たせるクオリティなのかも検討する必要があります。自社のシーズが実現するクオリティが、先行他社商品と差がなかったり、既存の自社商品と比べ味わいの変化を実感しづらい場合は、シーズそのものをもう少し磨き上げるという選択も必要です。
おわりに
上記の通り、商品開発の型の違いによって、マーケティングリサーチで着目すべきポイントが異なります。
ただ闇雲に市場規模や売上といったデータを沢山集めても、答えは見えてこないのです。
必要な情報は何かが明確になると、集めるべきデータがコレだと言い切れるようになります。
自社の商品開発の型に合わせて、日頃からどのような情報・データを社内に蓄積すべきなのか、考えるヒントにしてみてください。
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