食品における商品開発のカギ【わかりやすく解説します】

食品における商品開発の方法を知りたい方へ。

 

「顧客目線で商品開発に取り組んでいるが、新商品の営業に行ってもあまり反応が良くない」、
「改良を重ねてクオリティを磨いた新商品を開発したのに、思うように消費者の支持が集まらない」といった悩みを抱えていませんか?

本記事では、このような悩みを抱えている商品開発の担当者の方へ向けて、食品における商品開発に役立つ知識をお届けします。
結論からいうと、まず下記の3点を理解することが、食品における商品開発を成功に導くカギとなります。

  • 商品設計までの基本プロセス
  • 「消費者ニーズ由来」の商品開発の重要性
  • マーケティングリサーチにおける2つの目線の重要性

この記事を読むことで、商品設計までの基本プロセスをおさらいしながら、消費者の目線による「消費者ニーズ由来」の商品開発の重要性を確認でき、さらにバイヤー目線のマーケティングリサーチの重要性を理解できます。これにより、消費者及びスーパー等の食品小売業者の両者に支持される商品を開発することができるようになります。
この記事は、関東地方を中心に複数のメーカーと取引しながら食品業界のDXを進めるADAPTER INC.がこれまで培った知見をもとに執筆しています。

商品設計までのプロセス

商品開発は複数のフェーズから成り立っており、それぞれのフェーズでやるべきこと・考え方は異なります。
商品開発は以下の図のように進むのが一般的です。

以下、それぞれのフェーズを概観していきましょう。

 

マーケティングリサーチ

商品開発において最も重要な部分と言っても過言ではないのがマーケティングリサーチです。
一般にマーケティングリサーチといった場合には、消費者のニーズを調査するためのものを指すことが多いですが、消費者目線に加えて、バイヤー目線で行うマーケティングリサーチも重要です。
これらについては後述しますが、どちらも求められている商品はどのようなものかというインサイトを得るために行われます。

 

商品開発コンセプト検討

商品開発コンセプト検討のフェーズでは、マーケティングリサーチで得られたインサイトをもとに、商品開発のコンセプトを決定します。
ここでは、どのターゲット層に向けて、どのような商品を、どのように消費してもらうのかといった、商品の基本的な道筋を決定していきます。
その際、消費者のニーズを満たすことができるかという視点に加え、既存の商品を上回る価値提供ができるか等の視点からコンセプトを決定していきます。
以下のポイントは、商品コンセプトの代表的な検討項目となります。

  1. ターゲットセグメント(性別、年代、ライフスタイル、未婚既婚、単身・二人以上世帯等)
  2. ターゲットのペルソナ(具体的なターゲットの人物像のモデル)
  3. 商品の利用シーン(いつ・どこで・誰と)
  4. 商品の利用目的(主菜・副菜・おやつ・味の調整等)

 

商品設計

商品設計のフェーズでは、決定した商品コンセプトをもとに商品の具体的な設計を決めていきます。
ターゲットと新商品の方向性が決まっても、具体的な原料・加工方法・容量・パッケージデザイン等は膨大な組み合わせがあり、予算等のリソースを勘案しながら、最適な商品設計を行う必要があります。

以下のポイントは、商品設計の代表的な検討項目となります。

  1. 販売価格及び原価設定
  2. 原料(どの原料を、どこから、どのように仕入れるか)
  3. 加工方法(どの工場で、どのように加工するか)
  4. 容量(商品一つあたりの容量をどれくらいに設定するか)
  5. パッケージデザイン(どのようなデザインのパッケージで、どのように商品を見せるか)

マーケティングリサーチを初めに行う理由

商品開発においてマーケティングリサーチを初めに行う理由は、基本的に商品開発が「消費者ニーズ由来」である必要があるからです。
消費者のニーズがないものを作っても売れないことは明らかですから、まずどのようなものに消費者のニーズがあるのかを調査し、それに応じて商品開発を進めるというのが基本的なパターンになります。
一方で、「消費者ニーズ由来」の商品開発ではなく「企業の技術力由来」の商品開発を進めてしまっているところも少なくないのが現状です。
以下では、この2つのパターンの商品開発について見ていきましょう。

 

商品開発の基本パターンと「消費者ニーズ由来」の商品開発の重要性

商品開発には大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  1. 「消費者ニーズ由来」(マーケットイン)
  2. 「企業の技術力由来」(プロダクトアウト)

この2つのうち消費者に支持される商品を開発する為に重要なのは「消費者ニーズ由来」の商品開発です。
ここではその理由も含め、それぞれについて解説していきます。

 

「消費者ニーズ由来」(マーケットイン)の商品開発

商品開発における基本パターンの1つ目は「消費者ニーズ由来」(マーケットイン)の商品開発です。
これは消費者のニーズを調査し、その結果を受けて商品を開発する方法です。この方法は、消費者が求めている商品を開発することに重点を置いており、消費者が求めているものを市場に出せば、その商品は売れるはずという考え方に基づいています。

消費者のニーズをリサーチした後、その結果に応じて商品開発を行うので「新商品を市場に出してみたら、全く売れなかった」というような失敗は少ない一方で、既存の商品とは大きく異なる新ジャンルの商品を開発することは難しくなる傾向があります。

消費者の求めているものをリサーチする方法としては、ヒアリングやアンケートが代表的な方法です。
ヒアリングやアンケートを行う手段として、マーケティング会社等を利用し大規模に調査を行うことも可能ですが、莫大なコストが掛かってしまう傾向があります。

一方で、マーケティング会社等を利用したとしても、画一的なヒアリングやアンケートの結果からでは、消費者が本当に求めている潜在的なニーズを見つけ出すことは簡単ではありません。消費者の潜在的なニーズを探るという目的においては、画一的なヒアリングやアンケートよりも、消費者一人一人にインタビュー(ヒアリング)を行うことが望ましいです。

消費者は、自分自身の潜在的なニーズに気づいていないことが多く、画一的な質問項目を用いたヒアリングやアンケートからでは、表面的なニーズしか拾うことはできません。消費者一人一人に丁寧なインタビュー(ヒアリング)を行うことで、消費者が普段自分でも気づいていないようなニーズを発見でき、それに対応していくことがヒット商品の開発につながります。消費者の潜在的なニーズを探るインタビューの具体的な方法に関しては、別の記事で解説することにします。

「消費者ニーズ由来」の商品開発にも注意すべき点はあります。丁寧なインタビュー等のリサーチを踏まえ、消費者のニーズに対応した商品を開発できたとしても、それがスーパー等の小売業者に必ずしも受け入れられるものとは限りません。

詳しくは後述しますが、新商品が小売業者にとって扱いにくいタイプのものだった場合、結局導入に至らないことも少なくないので注意が必要です。

「企業の技術力由来」(プロダクトアウト)型の商品開発

商品開発における基本パターンの2つ目は「企業の技術力由来」(プロダクトアウト)の商品開発です。
これは企業の持っている技術力を活かし、経営理論や計画を優先させて行う商品の開発の方法です。
消費者のニーズに対応することを中心とせず、「自社の持っている技術力を活かせば、より良い製品ができるのではないか」といった思いつきやひらめきで行われる商品開発もこのタイプに入ります。

この方法の最大の利点は、消費者の声に囚われすぎることなく、培ってきた経験や担当者のセンスから企業が作りたい商品を開発することができるという点です。
大規模なマーケティングリサーチを行わず、社内リソースのみで商品開発ができるため、この開発手法で商品開発をしている事業者は少なくないのが実情です。

「企業の技術力由来」の商品開発は、消費者ニーズを踏まえていないため、開発して市場に出してみた結果、思った以上に消費者に支持されないということも少なくありません。
技術力を活かして品質の高い新商品を開発した場合でも、価格が高くなってしまうと消費者のコスト許容範囲を超えてしまい、売れません。
また、既存の商品のクオリティを高めた商品を開発しても、消費者がその改良した部分自体をそこまで重視していない場合は、新商品に価値を感じてもらえず、売れません。

「企業の技術力由来」型の商品開発は、マーケティングリサーチを全く行わず、それだけ単体で行うことはお勧めできません。
技術力を活かして、クオリティの高い商品を作っても、それを評価するのは消費者であり、消費者が求めるものを小売業者は仕入れるという図式からすると、マーケティングリサーチ無しに、プロダクトアウトで新商品を開発することは、結果として消費者にも小売業者にも受け入れられない商品を作ってしまう危険性を高めると言えます。

マーケティングリサーチにおける2つの目線の重要性

これまで述べてきた内容から、消費者に支持される商品を開発する場合、「消費者ニーズ由来」の商品開発を行うことが重要であり、そのためには消費者の潜在的なニーズを拾っていく為のマーケティングリサーチが必要であることが理解できたと思います。


これまで言及してきたマーケティングリサーチは、消費者のニーズを調査する目的で行われる消費者目線のものでした。
つまり、実際に商品を消費する消費者がその商品を買いたいと思うかどうかという目線です。


一方で、スーパー等の小売業者に多く扱ってもらう商品を開発するには、これに加えてバイヤー目線のマーケティングリサーチが重要です。バイヤー目線とは、食品小売業者のバイヤーの目線であり、バイヤーがその商品を仕入れたいと思うかどうかという視点です。


いくら消費者から評価の高い商品であっても、バイヤーにとって扱いにくい商品は、結局店頭に並ばず、消費者が商品を購入できません。
その意味では、バイヤー目線のマーケティングリサーチも重要と言えます。新商品の開発はこの二つの目線を意識した上で行うことが大切です。

消費者目線のマーケティングリサーチとバイヤー目線のマーケティングリサーチの代表的な検討項目は、以下のようになっています。

消費者目線のマーケティングリサーチ
(消費者インタビュー・ヒアリング・アンケートを用いて以下の項目を調査)

  1. ターゲットセグメント(性別、年代、ライフスタイル、未婚既婚、単身・二人以上世帯等)
  2. ターゲットのペルソナ(具体的なターゲットの人物像のモデル)
  3. 商品の利用シーン(いつ・どこで・誰と)
  4. 商品の利用目的(主菜・副菜・おやつ・味の調整等)
  5. 保存方法(どのように・どれくらい長く保存されるのか)
  6. 価格(どれくらいの価格が適切と感じるか)
  7. 味(どのような味を求めているのか)
  8. 原料(どのような原料が求めているのか・産地等のこだわりはあるか)

 

バイヤー目線のマーケティングリサーチ(店頭に出向き、実際の売り場を調査)

  1. 価格(同カテゴリーの商品との価格差)
  2. 商品陳列方式(売り場で実際にどのように陳列されているか)
  3. 商品陳列量(同カテゴリーの商品が、どれほどの棚を占有しているか)
  4. パッケージ(既存の陳列棚にフィットするか・消費者の目を引くか)
  5. 販促(売り場で、実際にどのように販促がかけられているか)

 

消費者目線とバイヤー目線マーケティングリサーチについての詳細な解説は、別の記事で書きたいと思います。

さいごに

今回の記事で食品の商品開発においては、マーケティングリサーチが非常に重要であることが理解できたことと思います。
弊社ADAPTER INC.は食品業界のマーケティングリサーチに役出つツールを作製しています。
現在リリースしている「フードデータ・コンテナ」は店頭でのマーケティングリサーチ、
つまりバイヤー目線のマーケティングリサーチを効率的に行うこためのツールです。

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