身近なところから始めるDXのススメ【中小食品小売業の経営者向け】

データに基づく経営

食品業界の中小企業にも、今すぐできるDXがあります!

はじめに

私達は「食」×「テクノロジー」を命題として掲げ、食品業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。
企業として成長を続けるためDXがあらゆる業界で取り組むべき課題として挙げられていますが、当社がドメインとする食品業界では、長い歴史の中で染み付いた価格競争や勘・経験・度胸(KKD)という商習慣から脱することができずDXへの取組が遅れているのではないかと考えています。

私達のお客様は、食という巨大なサプライチェーンの中で消費者と直接接する食品小売業を中心に、食品メーカー(製造業)・食品卸業ですが、それぞれの業態の中でも大小様々な企業があり、経営資源(ヒト・モノ・カネ)をDXへ投資する規模も雲泥の差があると言っても過言ではありません。

食の業界で語られるDX

よく食品業界で語られるDXとしてAI・IoT・ロボットなどの先進的なテクノロジーを活用し省人化や業務の効率化を目指すことを見たことがあると思います。これらの世界を実現するのは、経営資源が潤沢な大企業だけのイメージがあるかも知れません。

ですが、中小企業にも今すぐできるDXがあります。私達は「日常の業務での新たな気づきを得ること」もDXへの一歩と考えています。身近なところからDXに着手し経営改善に向けての取り組みをはじめてみてはいかがでしょうか。

身近にあるDXのターゲット

皆様の会社でも所属する協会や連合などのプライベートブランド(PB)商品を販売していると思われます。一般的にPB商品の開発は、ナショナルブランドメーカー等への製造委託等により調達されていると思われます。

消費者は、インターネットによって収集できる情報量が急増し、トレンドの刺激を受け流行のサイクルが短くなっています。このような状況で消費者から自社のPB商品に対し「もっとこうして欲しい」「こんなラインナップを揃えて欲しい」という要望が「店長へのお便り」「自社HPへ問合せ」などに寄せられた場合、商品を改良するまでのリードタイムは、どのくらい必要でしょうか。
その意見を採用し改良版を販売するまでの期間は、多くのステークホルダーが関係する商品開発会議や製造ラインの確立などを経て相当の時間が必要です。

一方、店舗内で製造・調理される惣菜やお弁当は、店舗ごとに改変の判断が可能であり、関わるステークホルダーも店内関係者や材料の仕入先など少数で取り組まれていることが多く、消費者の意見や市場の状況を素早く取り入れつつ、常に改良を加えながら自社の定番商品いわゆるPB商品として定着させるための高速PDCAが可能な商材です。

店舗内でのDXのはじまり

「食品における商品開発のカギ【わかりやすく解説します】」でも解説したとおり、商品の開発には、消費者目線及びバイヤー目線のマーケティングリサーチが重要となります。
その際、競合他社店舗へのマーケティングリサーチは、欠かせない業務になっていると思います。例えば、カツ丼が評判な小売へリサーチを行った場合、店舗に到着して惣菜やお弁当の棚割り、商品ラインナップ、各商材の販売数や売場の雰囲気を観察すると思います。また、実際にサンプルを購入し盛り付け、彩り、バランス、内容量、使っている肉の質、容器、価格などを観察し、自社の商品と比較して自社商品の改良点を研究すると思われます。

その研究結果を惣菜部門のみならず、水産・畜産・青果部門などの担当者、販売や製造戦力として貢献していただいているパート従業員などへも共有しているでしょうか?

我々は、この店舗内関係者への情報共有もDXへの一歩であると考えています。これまで出来ていなかった店舗内の情報共有は、惣菜部門の専門的な視点のみではなく、一つの情報を異なる視点で観察し、さまざまな意見や新たな気づきによって企業全体がDXに向けて成長していくものと考えています。
その際、販売推進に協力してくれるメーカー・卸などの担当者が参加することにより、さらに新たな視点や気づきが加わることでDX推進の速度が高まると考えています。

DXを進める上で重要なこと①

消費者の購買情報が分かるPOSデータやID-POSデータなどは、様々な場面で活用ができる一方、「データは持っているけど分析まで至っていない」「活用しきれていない」という課題をよく聞きます。
本来は、消費者の購買データを分析して得られる根拠を基に、お客様の声やPOSデータなどから生活者の行動変化を分析し自社の経営戦略や計画が策定されることが理想です。

しかし、マーケティング専門部署を持たない中小の小売事業者がほとんどであると思われます。
私達が、中小小売業者へおすすめするDXの取り組みとしては、まずは身近な業務をITの力を借りて置き換え、業務の効率化を図り、かつ社内や社外の情報共有を推進すること、まずは、身近なところから、新たな気付きを得るために「やれることからやってみる」ということが重要であると考えています。

DXを進める上で重要なこと②

次に、社内関係者間で情報共有を行う場合、どのようなデータを基に情報を共有するかが課題となります。多くの人の場合「データは見ても分からない」「数字は苦手」などデータに対する拒否反応や嫌悪感を払拭することが重要であり、かつデータを身近に感じ、データを活用して何かしらの改善と成功体験を提供することが必要です。

そのデータとは、どのようなデータなのでしょう?私達の答えは「画像(写真)」です。

人の五感や感性を刺激する「画像(写真)」は、人それぞれ見る角度が異なり、活発的な意見やコメント、感想が集まる「材料」になると考えています。「画像(写真)」を真正面にデータとして捉える人は、それほど多くは無いと思います。例えば、Instagramをデータ集として捉えている人は少なく、写真がきれい・観ていて癒やされるなどの印象が先行するのではないでしょうか。
これは、理想的な成功例ですが、競合他社で人気のお弁当の画像で得た情報(ヒント)から、午前中の来店が多いシニア向けに自社の定番お弁当の彩りを鮮やかに、おかずの配置を改良したとします。

この改良で売場に立ち止まる人が増え購買に繋がったなど、店舗のみなさんで考えた改良が経営に参加しているという成功体験を共有することこそが、データをデータとして感じさせず、結果的にもたらす売上増加に「実はデータが貢献していた」という体験を与えられることに繋がると考えます。

まとめ(クロージング)

食品業界のDXは、一部門や一社単独で牽引し推進されるものではありません。食品業界全体でそれぞれの立場が求める経営を目指し、協力して取り組む必要があると考えています。
当社は、食という我々が生きていくために不可欠なサービスを提供する小売業者が、データに基づく経営にシフト出来ることを願っています。
食品業界の場合、これまでの商習慣上、一足飛びにDXを実現するのは、難しいと考えています。一歩一歩着実に、いつかの時点で大きなジャンプができるように我々も全力でバックアップしていきます。

 

DXへの歩み

 

最後に

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無料で使える14日間のトライアル期間を設けています。この機会に利用してDXへの一歩を体験して下さい。また、これまで写真で蓄積していた自社の貴重なマーケティングリサーチデータを商品情報としてテキスト化し、検索閲覧が可能な状態へと変換するサービスも承っています。

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筆者 代表取締役 元木賢一